わいわいきっず

用語解説

ここでは、トップページに記載していた2つの用語について簡単に解説します。

*1 トークンエコノミーシステム とは?

「トークン=ごほうび」を活用して、子どもの好ましい行動を自発的に引き出す心理学の行動療法を実施するための仕組み
のことです。
1つのことを継続して行うには根気と習慣が必要ですが、高い壁にぶち当たったりすると、くじけたりやる気を失ってしまい
がちなもの。そんな時にこのシステムが大活躍します。
このシステムは、般性強化子(代理紙幣)を集めるとごほうび(価値ある強化子)が手に入るというもので、それにより自分が
どれだけ頑張ったかが認識できるので、より大きな達成へとつなげていくことができます。
般性強化子(代理紙幣)とは、例えばシールやスタンプのこと。皆様も子どものとき習い事や塾でもらった経験があるかも
しれません。
しかもこのシステムは、ゲーム感覚で楽しみながら取り組むことができるので、「トイレ(に行く!)」と言えた、靴をそろえら
れた、など日常生活の様々な場面で活用できます。ご家庭でもぜひご活用ください。
ただし、このシステムを取り入れる際には、気を付けたいポイントが3つあります。

1.お子さんと一緒にルールを決めましょう

親や大人が勝手に決めたルールでは納得しないことが多いもの。
ぜひお子さんと一緒にルールを考えて決めていきましょう。
また、「例外を設けない」ことにもご注意ください。

2.ごほうびまでに達成すべき目標の基準を徐々に上げていきましょう

最初は簡単なことから始めていき、徐々に基準を上げていきましょう。
それにより最終的にはごほうびがなくても望ましい行動が確立されるようになっていきます。
最後はお互いが「ごほうびを忘れていた!」となるのが理想的なパターンです。

3.ごほうびがワンパターンになったり過度な負担にならないようにしましょう

ごほうびには限度があります。あげる側の負担にならないようにしつつ、
時には特別なごほうびを用意するなどバリエーションがあるのもいいでしょう。

なにより大事なことは「できた!」を積み重ねることです。時には試行錯誤してもうまくいかない事も。
そんな時に、「これまでできたことがないから、できないのは当たり前」とか「どうしていつまでもできないの?」と言って
子どものことをあきらめたり、責めたりするのは逆効果です。
そんな時はぜひ、スモールステップを用いて成功した基準まで戻り、「できた!」をまた確実に積み重ねてください。
また、「よく頑張ったね!」「すごいね!」といった子どもへの声がけも積極的に行いましょう。
これにより、自分が役に立っているといった思いが生まれ、その思いが取組み続ける力の源泉となり、
お子さまの自立心の養成にもつながります。

ここでは、トップページに記載していた
2つの用語について簡単に解説します。

*1 トークンエコノミーシステム とは?

「トークン=ごほうび」を活用して、子どもの好ましい行動を自発的に引き出す心理学の行動療法を実施するための仕組みのことです。
1つのことを継続して行うには根気と習慣が必要ですが、高い壁にぶち当たったりすると、くじけたりやる気を失ってしまいがちなもの。そんな時にこのシステムが大活躍します。
このシステムは、般性強化子(代理紙幣)を集めるとごほうび(価値ある強化子)が手に入るというもので、それにより自分がどれだけ頑張ったかが認識できるので、より大きな達成へとつなげていくことができます。
般性強化子(代理紙幣)とは、例えばシールやスタンプのこと。皆様も子どものとき習い事や塾でもらった経験があるかもしれません。
しかもこのシステムは、ゲーム感覚で楽しみながら取り組むことができるので、「トイレ(に行く!)」と言えた、靴をそろえられた、など日常生活の様々な場面で活用できます。
ご家庭でもぜひご活用ください。
ただし、このシステムを取り入れる際には、気を付けたいポイントが3つあります。

1.お子さんと一緒にルールを決めましょう

親や大人が勝手に決めたルールでは納得しないことが多いもの。
ぜひお子さんと一緒にルールを考えて決めていきましょう。
また、「例外を設けない」ことにもご注意ください。

2.ごほうびまでに達成すべき目標の基準を徐々に上げていきましょう

最初は簡単なことから始めていき、徐々に基準を上げていきましょう。
それにより最終的にはごほうびがなくても望ましい行動が確立されるようになっていきます。
最後はお互いが「ごほうびを忘れていた!」となるのが理想的なパターンです。

3.ごほうびがワンパターンになったり過度な負担にならないようにしましょう

ごほうびには限度があります。あげる側の負担にならないようにしつつ、
時には特別なごほうびを用意するなどバリエーションがあるのもいいでしょう。

なにより大事なことは「できた!」を積み重ねることです。時には試行錯誤してもうまくいかない事も。
そんな時に、「これまでできたことがないから、できないのは当たり前」とか「どうしていつまでもできないの?」と言って子どものことをあきらめたり、責めたりするのは逆効果です。
そんな時はぜひ、スモールステップを用いて成功した基準まで戻り、「できた!」をまた確実に積み重ねてください。
また、「よく頑張ったね!」「すごいね!」といった子どもへの声がけも積極的に行いましょう。
これにより、自分が役に立っているといった思いが生まれ、その思いが取組み続ける力の源泉となり、
お子さまの自立心の養成にもつながります。

ここでは、トップページに記載していた
2つの用語について簡単に解説します。

*1 トークンエコノミーシステム とは?

「トークン=ごほうび」を活用して、子どもの好ましい行動を自発的に引き出す心理学の行動療法を実施するための仕組みのことです。
1つのことを継続して行うには根気と習慣が必要ですが、高い壁にぶち当たったりすると、くじけたりやる気を失ってしまいがちなもの。そんな時にこのシステムが大活躍します。
このシステムは、般性強化子(代理紙幣)を集めるとごほうび(価値ある強化子)が手に入るというもので、それにより自分がどれだけ頑張ったかが認識できるので、より大きな達成へとつなげていくことができます。
般性強化子(代理紙幣)とは、例えばシールやスタンプのこと。皆様も子どものとき習い事や塾でもらった経験があるかもしれません。
しかもこのシステムは、ゲーム感覚で楽しみながら取り組むことができるので、「トイレ(に行く!)」と言えた、靴をそろえられた、など日常生活の様々な場面で活用できます。
ご家庭でもぜひご活用ください。
ただし、このシステムを取り入れる際には、気を付けたいポイントが3つあります。

1.お子さんと一緒にルールを決めましょう

親や大人が勝手に決めたルールでは納得しないことが多いもの。
ぜひお子さんと一緒にルールを考えて決めていきましょう。
また、「例外を設けない」ことにもご注意ください。

2.ごほうびまでに達成すべき目標の基準を徐々に上げていきましょう

最初は簡単なことから始めていき、徐々に基準を上げていきましょう。
それにより最終的にはごほうびがなくても望ましい行動が確立されるようになっていきます。
最後はお互いが「ごほうびを忘れていた!」となるのが理想的なパターンです。

3.ごほうびがワンパターンになったり過度な負担にならないようにしましょう

ごほうびには限度があります。あげる側の負担にならないようにしつつ、
時には特別なごほうびを用意するなどバリエーションがあるのもいいでしょう。

なにより大事なことは「できた!」を積み重ねることです。時には試行錯誤してもうまくいかない事も。
そんな時に、「これまでできたことがないから、できないのは当たり前」とか「どうしていつまでもできないの?」と言って子どものことをあきらめたり、責めたりするのは逆効果です。
そんな時はぜひ、スモールステップを用いて成功した基準まで戻り、「できた!」をまた確実に積み重ねてください。
また、「よく頑張ったね!」「すごいね!」といった子どもへの声がけも積極的に行いましょう。
これにより、自分が役に立っているといった思いが生まれ、その思いが取組み続ける力の源泉となり、
お子さまの自立心の養成にもつながります。

*2 ABA とは?

ABA(Applied Behavior Analysis :応用行動分析)とは、個人の行動をその人個人の問題ではなく、個人と環境との相互作用の
結果としてとらえることで新たな行動の獲得や問題行動の解決などに応用していくという考え方ならびに実践体系のことです。
米国のロヴァース博士の研究*2-1が源流となっています。
*2-1 O.I.Lovaas, 1987, Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children
この理論に基づいた、問題行動への対象例について簡単にご紹介します。

①行動の原因の発見

最初に、子どもがその行動を引き起こす原因が、以下の4つのどれにあたるかを判断します。
必ず1つ以上の原因に該当します。
A 要求・活動の実現 ~●●が欲しい、●●がしたい~
B 逃避/回避行動  ~●●したくない、●●されたくない~
C 注目欲求     ~私のことを見て!、もっと私を構って!~
D 感覚刺激行動   ~●●を見ると/触ると気がまぎれる、なんだか楽しい~

②ABC分析の実施

行動の原因を①でみつけたら、次はそれに合わせた対応を「ABC」分析を用いて実施します。ABC分析の「ABC」は、それぞれ
Antecedent=行動前の状況、Behavior=行動、Consequence=行動の結果、の頭文字から取られています。
ABC分析では、常にこの図式で行動を考えます。例えば、駄菓子屋の前を子どもと通り過ぎようとした(A)、地面に大の字に
なって寝ころび大声で泣き喚いた(B)、アイスを買ってもらった(C)という具合です。
この場合、子どもはこの結果をもとに泣きわめいたらアイスをせしめたという結果を学習し、それを繰り返すようになります。
やがて、泣きわめくことで自分の要求を通そうとするようになり、それが問題行動へとつながります。

③叱らずに対処していく

ABAでは「叱らずほめて育てる」が実践の基本ですが、問題行動を起こしても叱らずに対処するのはとてもむずかしいこと。
そのためには、まわりの大人にも技術が求められます。
代表的な技術として以下のような方法があります。

 A 強化

 ある行動の直後に子どもにとって良いことがある/嫌なことがなくなる、といった場合、その結果によってその行動が増え
 ていきます。そのことを「強化」といいます。ABAではよい行動の強化をめざしますが、現実問題としては、悪い行動が回り
 から叱られることで「強化」されているというケースが非常に多いです。
 たとえば、水筒の水をわざとじゅうたんにこぼしてじゅうたんの色が変わることを楽しんでいた場合、まわりが声をあげて
 怒ったり、あわててバタバタとじゅうたんを拭いたりすること自体が、強化となっていることもあります。子どもが望ましい
 行動(たとえば水筒の水をコップに入れて最後までこぼさず飲む)をしたときにたくさんほめたりしてそれを「強化」してあげ
 ましょう。駄菓子屋の例の場合、泣きわめかずに通り過ぎた時が「強化」のタイミングとなります。

 B 弱化と消去

 問題行動を起こした時は、それまで得られていたごほうびを与えないというペナルティ等でその行動を減らして
 いきます(弱化)。
 弱化には、ある行動により望ましくない結果が得られる(正の弱化。たとえば犬に近づいて吠えられたので犬に近づ
 かなくなった)ものと、ある行動により望ましい結果がなくなる(負の弱化。たとえばおもちゃをもっている時に騒いでいたの
 でおもちゃを取り上げる)の2種類があります。なお、弱化を多用すると行動自体が減ってしまう(叱られないようにするため
 に何もしなくなる、すなわち積極性が失われる)、罰的なかかわりがエスカレートしがちになる、等の副作用が知られています
 (メリットの法則-行動分析学実践編より)。
 基本的には弱化、特に負の弱化を使わずに対処する事が望ましいといえます。一方、消去とは、ある行動の前後で変化がないと
 その行動は減るという原理を指します。たとえば、じゅうたんに水をこぼす行動を起こしているのであれば、
 敢えて反応しない、駄菓子屋の前で泣きわめいたのなら淡々と(少々乱暴ではありますが、引きずりながらでも)
 その場を通り過ぎる、にんじんを食べない子どもに「にんじんを食べてね」という働きかけを変わらず続ける、
 といったことがそれにあたります。
 なお、この消去で注意すべきことは「消去バースト」と呼ばれる行動の変化ですが、こういった行動への対処については、
 ここでは割愛します。

 C 分化強化

 分化強化とは、望ましい行動を増やしてそうでない行動を減らすために強化と消去を応用した、いわば特定の適切な行動を選択
 の上強化することで行動を変容させる動き、といえます。
 分化強化には「高頻度行動分化強化」、「他行動分化強化」、「代替行動分化強化」など多くの種類があります。
 一例として「代替行動分化強化」を紹介すると、「朝の会」で椅子と叩いて大きな音を立てる子どもに対して代わりにやわらか
 いボールを握らせて違う刺激を与える(これで効果がない場合、クッションに座らせるなど、問題行動と非両立の行動を
 分化強化していく「非両立行動分化強化」という手法をとるなど、更に別の対応を行います)、などが挙げられます。   

 D 先行条件操作

 先行条件操作とは、問題行動そのものが起こりにくくなるように、あらかじめ物理的・あるいは時間的な環境を調整しておく
 ことをいいます。
 特定のものがパニックを引き起こすであれば、それを目につかないところに隠したり廃棄したりしておきます。
 駄菓子屋の例の場合、課題が解決するまでの間は、駄菓子屋の前を通らずに別の道を通ることが、
 先行条件操作の例にあたります。  

*2 ABA とは?

ABA(Applied Behavior Analysis :応用行動分析)とは、個人の行動をその人個人の問題ではなく、個人と環境との相互作用の結果としてとらえることで新たな行動の獲得や問題行動の解決などに応用していくという考え方ならびに実践体系のことです。
米国のロヴァース博士の研究*2-1が源流となっています。
*2-1 O.I.Lovaas, 1987, Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children
この理論に基づいた、問題行動への対象例について簡単にご紹介します。

①行動の原因の発見

最初に、子どもがその行動を引き起こす原因が、以下の4つのどれにあたるかを判断します。
必ず1つ以上の原因に該当します。
A 要求・活動の実現 ~●●が欲しい、●●がしたい~
B 逃避/回避行動  ~●●したくない、●●されたくない~
C 注目欲求     ~私のことを見て!、もっと私を構って!~
D 感覚刺激行動   ~●●を見ると/触ると気がまぎれる、なんだか楽しい~

②ABC分析の実施

行動の原因を①でみつけたら、次はそれに合わせた対応を「ABC」分析を用いて実施します。
ABC分析の「ABC」は、それぞれ
Antecedent=行動前の状況、Behavior=行動、Consequence=行動の結果、
の頭文字から取られています。
ABC分析では、常にこの図式で行動を考えます。
例えば、駄菓子屋の前を子どもと通り過ぎようとした(A)、
地面に大の字になって寝ころび大声で泣き喚いた(B)、
アイスを買ってもらった(C)という具合です。
この場合、子どもはこの結果をもとに泣きわめいたらアイスをせしめたという結果を学習し、それを繰り返すようになります。
やがて、泣きわめくことで自分の要求を通そうとするようになり、それが問題行動へとつながります。

③叱らずに対処していく

ABAでは「叱らずほめて育てる」が実践の基本ですが、問題行動を起こしても叱らずに対処するのはとてもむずかしいこと。
そのためには、まわりの大人にも技術が求められます。
代表的な技術として以下のような方法があります。

 A 強化

 ある行動の直後に子どもにとって良いことがある/嫌なことがなくなる、といった場合、その結果によ
 ってその行動が増えていきます。そのことを「強化」といいます。
 ABAではよい行動の強化をめざしますが、現実問題としては、悪い行動が回りから叱られることで
 「強化」されているというケースが非常に多いです。
 たとえば、水筒の水をわざとじゅうたんにこぼしてじゅうたんの色が変わることを楽しんでいた場合、
 まわりが声をあげて怒ったり、あわててバタバタとじゅうたんを拭いたりすること自体が、
 強化となっていることもあります。
 子どもが望ましい行動(たとえば水筒の水をコップに入れて最後までこぼさず飲む)をしたときにたく
 さんほめたりしてそれを「強化」してあげましょう。
 駄菓子屋の例の場合、泣きわめかずに通り過ぎた時が「強化」のタイミングとなります。

 B 弱化と消去

 問題行動を起こした時は、それまで得られていたごほうびを与えないというペナルティ等でその行動を
 減らしていきます(弱化)。
 弱化には、ある行動により望ましくない結果が得られる
 (正の弱化。たとえば犬に近づいて吠えられたので犬に近づかなくなった)ものと、
 ある行動により望ましい結果がなくなる
 (負の弱化。たとえばおもちゃをもっている時に騒いでいたのでおもちゃを取り上げる)
 の2種類があります。
 なお、弱化を多用すると行動自体が減ってしまう
 (叱られないようにするために何もしなくなる、すなわち積極性が失われる)、
 罰的なかかわりがエスカレートしがちになる、等の副作用が知られています(メリットの法則-行動分
 析学実践編より)。
 基本的には弱化、特に負の弱化を使わずに対処する事が望ましいといえます。
 一方、消去とは、ある行動の前後で変化がないとその行動は減るという原理を指します。
 たとえば、じゅうたんに水をこぼす行動を起こしているのであれば、敢えて反応しない、
 駄菓子屋の前で泣きわめいたのなら淡々と(少々乱暴ではありますが、引きずりながらでも)
 その場を通り過ぎる、にんじんを食べない子どもに「にんじんを食べてね」という働きかけを
 変わらず続ける、といったことがそれにあたります。
 なお、この消去で注意すべきことは「消去バースト」と呼ばれる行動の変化ですが、
 こういった行動への対処については、ここでは割愛します。

 C 分化強化

 分化強化とは、望ましい行動を増やしてそうでない行動を減らすために強化と消去を応用した、
 いわば特定の適切な行動を選択の上強化することで行動を変容させる動き、といえます。
 分化強化には「高頻度行動分化強化」、「他行動分化強化」、「代替行動分化強化」など多くの種類が
 あります。
 一例として「代替行動分化強化」を紹介すると、「朝の会」で椅子と叩いて大きな音を立てる子どもに
 対して代わりにやわらかいボールを握らせて違う刺激を与える(これで効果がない場合、クッションに
 座らせるなど、問題行動と非両立の行動を分化強化していく「非両立行動分化強化」という手法をとる
 など、更に別の対応を行います)、などが挙げられます。   

 D 先行条件操作

 先行条件操作とは、問題行動そのものが起こりにくくなるように、
 あらかじめ物理的・あるいは時間的な環境を調整しておくことをいいます。
 特定のものがパニックを引き起こすであれば、それを目につかないところに隠したり廃棄したりしてお
 きます。
 駄菓子屋の例の場合、課題が解決するまでの間は、駄菓子屋の前を通らずに別の道を通ることが、
 先行条件操作の例にあたります。  

*2 ABA とは?

ABA(Applied Behavior Analysis :応用行動分析)とは、個人の行動をその人個人の問題ではなく、個人と環境との相互作用の結果としてとらえることで新たな行動の獲得や問題行動の解決などに応用していくという考え方ならびに実践体系のことです。
米国のロヴァース博士の研究*2-1が源流となっています。
*2-1 O.I.Lovaas, 1987, Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children
この理論に基づいた、問題行動への対象例について簡単にご紹介します。

①行動の原因の発見

最初に、子どもがその行動を引き起こす原因が、以下の4つのどれにあたるかを判断します。
必ず1つ以上の原因に該当します。
A 要求・活動の実現
~●●が欲しい、●●がしたい~
B 逃避/回避行動
~●●したくない、●●されたくない~
C 注目欲求
~私のことを見て!、もっと私を構って!~
D 感覚刺激行動
~●●を見ると/触ると気がまぎれる、なんだか楽しい~

②ABC分析の実施

行動の原因を①でみつけたら、次はそれに合わせた対応を「ABC」分析を用いて実施します。
ABC分析の「ABC」は、それぞれ
Antecedent=行動前の状況、Behavior=行動、Consequence=行動の結果、
の頭文字から取られています。
ABC分析では、常にこの図式で行動を考えます。
例えば、駄菓子屋の前を子どもと通り過ぎようとした(A)、地面に大の字になって寝ころび大声で泣き喚いた(B)、アイスを買ってもらった(C)という具合です。
この場合、子どもはこの結果をもとに泣きわめいたらアイスをせしめたという結果を学習し、それを繰り返すようになります。
やがて、泣きわめくことで自分の要求を通そうとするようになり、それが問題行動へとつながります。

③叱らずに対処していく

ABAでは「叱らずほめて育てる」が実践の基本ですが、問題行動を起こしても叱らずに対処するのはとてもむずかしいこと。そのためには、まわりの大人にも技術が求められます。
代表的な技術として以下のような方法があります。

A強化

ある行動の直後に子どもにとって良いことがある/嫌なことがなくなる、といった場合、その結果によってその行動が増えていきます。そのことを「強化」といいます。
ABAではよい行動の強化をめざしますが、現実問題としては、悪い行動が回りから叱られることで「強化」されているというケースが非常に多いです。
たとえば、水筒の水をわざとじゅうたんにこぼしてじゅうたんの色が変わることを楽しんでいた場合、まわりが声をあげて怒ったり、あわててバタバタとじゅうたんを拭いたりすること自体が、強化となっていることもあります。
子どもが望ましい行動(たとえば水筒の水をコップに入れて最後までこぼさず飲む)をしたときにたくさんほめたりしてそれを「強化」してあげましょう。駄菓子屋の例の場合、泣きわめかずに通り過ぎた時が「強化」のタイミングとなります。

B弱化と消去

問題行動を起こした時は、それまで得られていたごほうびを与えないというペナルティ等でその行動を減らしていきます(弱化)。
弱化には、ある行動により望ましくない結果が得られる(正の弱化。たとえば犬に近づいて吠えられたので犬に近づかなくなった)ものと、ある行動により望ましい結果がなくなる(負の弱化。たとえばおもちゃをもっている時に騒いでいたのでおもちゃを取り上げる)の2種類があります。
なお、弱化を多用すると行動自体が減ってしまう(叱られないようにするために何もしなくなる、すなわち積極性が失われる)、罰的なかかわりがエスカレートしがちになる、等の副作用が知られています(メリットの法則-行動分析学実践編より)。
基本的には弱化、特に負の弱化を使わずに対処する事が望ましいといえます。一方、消去とは、ある行動の前後で変化がないとその行動は減るという原理を指します。
たとえば、じゅうたんに水をこぼす行動を起こしているのであれば、敢えて反応しない、駄菓子屋の前で泣きわめいたのなら淡々と(少々乱暴ではありますが、引きずりながらでも)その場を通り過ぎる、にんじんを食べない子どもに「にんじんを食べてね」という働きかけを変わらず続ける、といったことがそれにあたります。
なお、この消去で注意すべきことは「消去バースト」と呼ばれる行動の変化ですが、こういった行動への対処については、ここでは割愛します。

C分化強化

分化強化とは、望ましい行動を増やしてそうでない行動を減らすために強化と消去を応用した、いわば特定の適切な行動を選択の上強化することで行動を変容させる動き、といえます。
分化強化には「高頻度行動分化強化」、「他行動分化強化」、「代替行動分化強化」など多くの種類があります。
一例として「代替行動分化強化」を紹介すると、「朝の会」で椅子と叩いて大きな音を立てる子どもに対して代わりにやわらかいボールを握らせて違う刺激を与える(これで効果がない場合、クッションに座らせるなど、問題行動と非両立の行動を分化強化していく「非両立行動分化強化」という手法をとるなど、更に別の対応を行います)、などが挙げられます。   

D先行条件操作

先行条件操作とは、問題行動そのものが起こりにくくなるように、あらかじめ物理的・あるいは時間的な環境を調整しておくことをいいます。特定のものがパニックを引き起こすであれば、それを目につかないところに隠したり廃棄したりしておきます。
駄菓子屋の例の場合、課題が解決するまでの間は、駄菓子屋の前を通らずに別の道を通ることが、先行条件操作の例にあたります。  

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